ホテルシェレナ TOP > 第4章 地震による予想最大損失> 1.はじめに
本報告書は、1990 年に建設されたホテルシェレナについて、地震による予想最大損失率(Probable Maximum Loss)を算定するものである。
予想最大損失率とは、被災前の状態に復旧する補修工事費の総建替工事費に対する比率である。対象とする地震被害は、建物の被害に限定し、50 年間での発生確率が10%以上である最大限の損失とする。
本建物の耐震性能を、当社の簡易診断手法を用いて概略的に評価した上で、予想最大損失率を検討する。
本建物の敷地に予想される最大級の地震を本建物が受けた場合に予想される被害を、図2-1に示す手順で算定する。各フローにおける検討方針は以下による。
2.1 建物の耐震性能の評価
本建物の耐震性能を耐震診断手法を用い、構造耐震指標(Is)として評価する。ここで用いる耐震診断手法には、日本建築防災協会の耐震診断基準(1次診断)に建物の偏心率や剛重比などによる耐震性能への影響を考慮できるように改良した当社作成の簡易1次診
断表を用いる。
診断の対象は最も耐震性能が小さいと判断される階とし、本建物では1 階を診断対象階とする。
2.2 敷地周辺の地震危険度の評価
当該敷地周辺で過去に発生した地震及び当該敷地に影響を及ぼす活断層に係わるデータに基づきハザード解析を行い、50 年間に10%の確率で超え得る大きさの地震(PME)による地表面加速度を算定する。この場合、地盤種別は表 2-1の定義に基づき区分する。

図 2-1 地震による想定被害の検討フロー
2.3 建物の損傷度の予測
本建物の耐震性能(Is)と本敷地に予想されるPME による地表面最大加速度の関係から、この地震を受けた場合の本敷地の損傷度を予測する。本報告書では、50 年間において中破以上の被害を受ける確率の大きさを記述する。
中破とは、地震直後に建物を継続使用する場合に、補修または補強を必要とする被害レベルを言う。
2.4 予想最大損失率(PML)の算定
損失率とは、被災前の状態に復旧するために必要な補修工事費の総建替工事費に対する割合である。 50年間で10%以上の確率で本建物に発生が予想される最大級の損傷度に対して損失率を算定し、予想最大損失率(PML)として示す。
表 2-1 地盤種別
| 地盤種別 | 説 明 | 地盤の特性値TG |
| 1種地盤 | (1)第三紀以前の地盤(以下岩盤と称する) (2)岩盤までの洪積層の厚さが10m 未満 |
TG < 0.2 |
| 2-1種地盤 | (1)岩盤までの洪積層の厚さが10m 以上 (2)岩盤までの沖積層の厚さが10m 未満 |
0.2 ≦ TG < 0.4 |
| 2-2種地盤 | 沖積層の厚さが25m 未満でかつ軟弱層の厚さが5m未満 | 0.4 ≦ TG < 0.6 |
| 3種地盤 | 上記以外の地盤 | 0.6 ≦ TG |
3.1 建物概要
本建物は1988年に設計され、1990年に建設された、地下1階、地上12階、塔屋2階のSRC造のホテルである。建物の形状を図3-2〜図3-5に示す。
本建物の平面形状は、X(東西)方向32.6m、Y(南北)方向33.8mの不整形な平面形状である。3階からセットバックし、X方向32.6m、Y方向24.2mの不整形平面となる。1階の階高は4.05m、2階は3.5m、基準階高は3.2mである。地下階は、店舗、機械室等で、地上1階はエントランスロビー、メインバー、2階はレセプションルーム、ラウンジ、3階から上階は客室である。1階のロビー部分は5階まで建物内部での吹き抜け、5階より上部の建物中央部は吹き抜けとなっている。
構造種別は、鉄骨鉄筋コンクリート造である。架構形式はX、Y方向ともに耐震壁を有するラーメン構造である。主な柱スパンは、X:7.8m(7.8m〜1.88m)×5スパン、Y方向の、西面は2.15m〜6.5mまでの5スパン、東面は3.6m〜7.35m×6スパンの不規則なスパンである。主な柱断面は1階で1,000×1,000角である。SRC柱の鉄骨はビルドクロス型鋼、T型鋼による充腹型のT字型断面で、地下階まで延長されている。尚、1階から2階まで長柱となる柱がある。各階共X、Y両方向の要所に耐震壁が配置されている。3階から上階はX、Y方向共の戸境部分に耐震壁が多く配置されている。尚、耐震壁以外のそで壁には全てスリットが設けられている。基礎は、直接基礎(ベタ基礎)で、GL−6.83mの礫混じり砂層を支持層としている。
表 3-1に建物の概要をまとめる。
表 3-1 建物の概要
1.) 建物概要
| 建物名称 / ホテルシェレナ | |||
| 所 在 地 / 神戸市中央区元町通6丁目40番地 | |||
| 階 数 / 地上12階 地下1階 塔屋2階 | |||
| 建物用途 | ホテル | 延床面積 | 7,745.65m2 |
| 軒 高 | 40.67m | 最高高さ | 52.97m |
| 設計年度 | 1988年 | 竣工年度 | 1990年 |
| 設 計 者 | (株)レーモンド設計事務所 | 施工者 | フジタ工業株式会社 |
2.) 構造概要
| 構造種別 | □鉄筋コンクリート造 ■鉄骨鉄筋コンクリート造 □鉄骨造 | ||
| 架構形式 | X方向 (東西方向) | □ラーメン構造 ■ラーメン+耐力壁 □ブレース構造 | |
| Y方向 (南北方向) | □ラーメン構造 ■ラーメン+耐力壁 □ブレース構造 | ||
| 基礎形式 | ■直接基礎(ベタ基礎) □杭基礎 | ||
| 構造上の 特 徴 |
本建物の平面形状は、X(東西)方向32.6m、Y(南北)方向33.8mの不整形な平面形状である。3階からセットバックし、X方向32.6m、Y方向24.2mの不整形平面となる。1階階高は4.05m、2階は3.5m、基準階高は3.2mである。地下階は、店舗、機械室等で、地上1階はエントランスロビー、メインバー、2階はレセプションルーム、ラウンジ、3階から上階は客室である。1階のロビー部分は5階まで建物内部での吹き抜け、5階より上部の建物中央部は吹き抜けとなっている。 構造種別は、鉄骨鉄筋コンクリート造である。架構形式はX、Y方向ともに耐震壁を有するラーメン構造である。主な柱スパンは、X:7.8m(7.8m〜1.88m)×5スパン、Y方向は、西面は2.15m〜6.5mまでの5スパン、東面は3.6m〜7.35m×6スパンの不規則なスパンである。主柱断面は1階で1,000×1,000角である。SRC柱の鉄骨はビルドクロス型鋼、T型鋼による充腹型のT字型断面で、地下階まで延長されている。尚、1階から2階まで長柱となる柱がある。各階共X、Y両方向の要所に耐震壁が配置されている。3階から上階はX、Y方向共の戸境部分に耐震壁が多く配置されている。尚、耐震壁以外のそで壁には全てスリットが設けられている。基礎は、直接基礎(ベタ基礎)で、GL−6.83mの礫混じり砂層を支持層としている。 | ||
3.) 設計図書保管の有無
| 設計図書 | ■建築一般図 ■構造図 □構造計算書 □地質調査柱状図 |






3.2 地盤等の概要
本建物は神戸市中央区元町通6 丁目に所在し、神戸高速鉄道東西線「西元町駅」の北側約100m に位置する。
本敷地の地質構成は、埋土(GL- 0.0m〜5.0m、N値=20〜50)レキ混じり細砂層(GL- 5m〜7.5m、N値=20〜30)レキ混じり中砂層(GL- 7.5m〜10.5m、N値=30〜8)と中砂(GL- 10.5m〜12.5m、N値=8〜12.5)なっている。
基礎は、直接基礎(ベタ基礎)で、GL−6.83m のレキ混じり細砂層の地盤で支持されている。
今回の検討における地盤種別は2-1 種とする。
内閣府のケーススタディによるモデル地域の地震防災マップより引用した、神戸市の揺れやすさマップ(震度分布マップ)(=各種想定震源による震度の最大値の包絡)を図3-8に、地域の危険度マップを図3-9 に示す。
これらから、地盤等の条件に係わる本建物への影響を以下にまとめる。

図3-8 神戸市の地盤の揺れやすさマップ
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図3-8 神戸市の地盤の揺れやすさマップ
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