ホテルシェレナの歴史や阪神淡路大震災での被害、耐震構造、建物状況調査について

ホテルシェレナ 復興記録―阪神大震災を経て―

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第4章 地震による予想最大損失





5. 地震による予想最大損失率


5.1 敷地周辺の地震活動の概要

当該敷地に大きな影響を及ぼすと考えられる地震のタイプは、主に、1)南海トラフ(プレートの沈み込み帯)沿いに発生する太平洋側沖合いの巨大地震、2)陸域の浅い地震である。1)のタイプの地震の例としては、1707年宝永地震(M8.4)、1854年安政東海地震(M8.4)、1854年安政南海地震(M8.4)、1944年東南海地震(M7.9)、1946年南海地震(M8.0)などが挙げられる。2)のタイプの地震の例としては、1596年の慶長伏見地震(M71/2)や1995年兵庫県南部地震(M7.2)が挙げられる。
当該敷地に影響を及ぼすと考えられる主な活断層としては、大阪平野の北縁に沿う有馬-高槻断層帯、この断層帯と枝別れするような形で六甲山地から淡路島北部にかけて続く六甲・淡路断層帯、紀伊半島から四国に延びる中央構造線断層帯が挙げられる。有馬-高槻断層帯および六甲・淡路断層帯の主要部分は、1995年兵庫県南部地震以前にも、1596年慶長伏見地震の際に活動したと推定されている。また、県西部には山崎断層が存在し、868年の地震(M7以上)を発生させたと考えられている。大阪湾には、大阪湾断層帯の存在が確認されているが、その活動の詳細は明らかになっていない。
当該敷地に大きな影響を及ぼしたと考えられる歴史地震のうち、予想最大加速度が大きい順に10個を表5-1と図5-1に示す。また、当該敷地周辺の活断層を図5-1の地図に示す。

表 5-1 当該敷地に大きな影響を与える過去の歴史地震

No.地震名発生年マグニチュード想定加速度(gal)
1兵庫県南部 19957.2526
2京都および畿内 15967.5168
3神戸,大阪湾 19166.1120
4播磨,兵庫県 8687.0116
5摂津,大阪府 15106.891
6近江,滋賀県 11857.484
7南海道,(宝永地震)17078.475
8(吉野地震) 19526.866
9伊賀・伊勢,三重県 18547.364
10摂津,大阪府 15796.064

図 5-1 活断層分布図
図 5-1 活断層分布図



5.2地震危険度の計算結果

予想最大損失率(PML)の算定のために、当該敷地における地震危険度を算出した。地震危険度は、任意の地震動強さに対して、その値を超過する確率を表したものである。地震危険度は、震源データ、地震活動域モデル、地震動の距離減衰式、地盤種別を用いて、当社が独自に開発したシステムで計算した。
得られた地震危険度では、50年間で10%の確率で発生する大きさの地震(PME)の地表面加速度の推定値は419gal(cm/s2)である。


5.3予想最大損失率(PML)

予想最大損失率(ProbableMaximumLoss)は、金融・保険業で耐震性能を評価する際によく用いられる災害損失の指標である。この指標は、ある想定する規模の地震により当該建物が被害を受けたとき、被災前の状態に復旧する補修工事費の、総建替工事費に対する割合で定義される。50年間で10%の確率で発生する損失の期待値(PML)を算出する。ただし、PMLには機器、家具、在庫品、水または火災による被害、被災者に対する補償、営業中断による損失は考慮されていない。上記の項目に係わるコストを考慮する場合にはより詳細な情報と分析が必要である。
50年間に10%の確率で発生する大きさの地震(PME)に対して、本建物が中破となる確率は15.8%と推定される。
PMEが発生した場合の本建物の予想最大損失率は、過去の統計データ等によりばらつきを考慮した場合の90%信頼の値(PML90(PME))で9.7%と推定される。この数値はBELCA編「不動産投資・取引におけるエンジニアリング・レポート作成に係るガイドライン」のPMLの定義に相当する値である。

参考として、当該敷地に起こりうるすべての地震の可能性を考慮した場合に50年間で10%を越える確率で発生すると想定される地震被害による本建物の予想最大損失率(PML(累積))は16.7%と推定される。このPMLの値は、過去の統計データ等によりばらつきを考慮した場合の中央値(期待値)である。